。。。家族の選択。。。
2009年8月25日この世を去った義弟の介護の日々。。。 2013年6月30日を持って終了しました。。。
やる気。。。?
2007.04.28 (Sat) 義弟との日々の出来事
これは、ノートを付け始めた翌日の日記。。。「弟くん、書けた?」
3時過ぎになって、声をかけてみた。
「うん、書けたよ」
ノートを見せてきたけど、何も書いてない。
「何も書いてないじゃん?」
「書いたよ」
さっき、私が見本で書いた場所に1行だけ付け足してあった。
「デニッシュパンを食べた」
またデニッシュパンか!ぬあ~っ!この横着者め!
しかし、ここでまた激怒すると一応やる気にはなってるんだ。
落ち着け!落ち着け!!恵子!!!
「そうじゃなくて、これは昨日のことを見本で書いたんでしょ。
今日のことを朝から書くんだよ。横着だな~」
。。。と、つい一言多かった。。。
「別に横着したんじゃないよ」
「どうでもいいけどさ、今朝からのことを書いてよ」
「今朝から~?」
「そうだよ、さっきからそう言ってるじゃん」
「は~い」
そしてさらに時間経過・・・それなりに書いてはいるのだけどね
起床 7時
お散歩 コンビニ 缶コーヒー
昼寝 ~14:00
これだけかよ!
「今朝起きたの、7時過ぎてたよね。7時3分だったでしょ?
その横に、1000円罰金って書いておきな。
自分がどれくらい罰金払ってるかわかるし、わかれば起きれるかもよ」
「フフフ、そうだね」
「お散歩で買ったものを書くのいいけど、重要なのは時間だよ。
何時からお散歩に出かけたか、覚えてる?」
「・・・・・9時・・・45分・・・」
「うん、そうだね。それを書いて、何時に帰って来た?」
「・・・・・10時・・・・・」
「忘れちゃった?」
「うん」
「10時20分。何分歩いてきた?
「・・・・・35分」
「じゃあ、それも横に書いて。ねっ?そうすれば、自分が何にどれくらいの
時間を使ってるかわかるでしょ?」
「そうだね」
「お昼寝は?何時から寝た?」
「・・・12時」
「そうだね。で、起きたのは厳密に言えば、2時10分過ぎだよ」
「えっ?俺こんなに寝てるの?」
「そうだよ。昨日は3時間寝てたよ」
「本当かよ~」
「ねっ?自分でわかるでしょ?そうすれば改善しようって思うでしょ?」
「うん、本当だ」
「何をするのも、まず時間時計を見るんだよ。
そういうクセを自分で付けるの。それでとにかく書くクセもつける。
それでどうするか、また考えればいいから」
「そうだよね、わかった」
こんな調子で、何度も書き直しをした。
夕方5時前、着替えは終わってるけど『水戸黄門』を見ていた。
もう一度、大学ノートを見たら表紙に『憲児くん 秘密のダイアリー』と書いてあった。
女子高生か!o(>▽<)o ウキャキャウキャキャ
「弟くん、秘密のダイアリーなの?全然秘密じゃないじゃん (^m^*)」
「そうだよ、でもいいだろ?」
「うん、いいけどさ(='m')くすくすっ」
ノートの中身を見ると
夕方お散歩 16:30~15:00
と書いてある。
「ねえねえ、まだ夕方のお散歩行ってないでしょ?」
「予定を書いたんだよ」
「予定って、もう5時10分前だよ。4時半過ぎてるじゃん」
「そうだけど、いいんだよ」
「ダメだよ。予定は書かないの。やったことを書くんだよ。
こうやって書いておいて、書き直すの忘れたらどうなる?
間違った記憶が残っちゃうことになるんだよ」
「そうか・・・」
「それとさ、16時半から15時ってなに?」
「・・・・・・・あれ?逆だ、間違えた」
「逆もおかしいけど、予定は書かないでやったことを書くんだよ」
消しゴムで、それを消した。
「お散歩行かないの?私より後に出たら、私より後に帰ってこなくちゃ」
「あ、じゃあ一緒に出るよ」
「鍵は私が持って行くよ。1時間歩くんだから、私の方が先になる」
「うん、わかった」
一緒に家を出て、また階段で追い抜く時に
「1時間ね~」
「は~い」
昨日もムシムシ暑かったから、45分程でマンション前に戻ってくると
義弟が、フラフラして待っていた。
「まだ45分だよ。もう一回り、あの道歩いてきな」
「うん、わかった」
「ジイジと途中まで、一緒に行きな」
「うん、じゃあおとうさん、一緒に行きましょう」
「よし!じゃあ行くか!」
2人で歩き出したけど、歩く後姿はどう見ても父の方が若い。
「弟くん、73歳の老人に負けるなよ!」
弟くんが手を振って、それでも歩き出した。
先に家に戻り、わんこの足拭きが終わる頃義弟が帰って来た。
「ほら、ちょうど1時間、6時過ぎだよ」
「うん」
着替えて手洗いが終わり
「座ったら、ノートに書くんだよ」
「は~い」
しばらくしてから、ノートを見ると
夕方お散歩 16:00~17:00
となってる。
「弟くん、お散歩私と一緒に出たんだよ。何時だった?」
「えっ?・・・4時じゃなかった?」
「違うでしょ。水戸黄門が終わってから出たんだよ」
「・・・・・そうか、スーパータイム始まってたもんな」
「うん、何時だった?」
「5時だ」
「5時は?」
「・・・・・17時だ」
「そうでしょ」
消しゴムで消して、書き直す。
「帰って来たのは?」
「17時」
「いやいや、出かけたのが17時でしょ。帰って来たのは?」
「あ・・・(しばらく時計を眺めて)18時か」
「そうでしょ」
こりゃあ、根気のいる作業になりそうだ。
やる気が出てるみたいだから、それを損なうようなことにはしたくない。
笑わないように( ̄m ̄*)怒らないように、慎重に行かなくちゃ!
「だけどさ~、恵子ちゃんのおとうさん、元気だよな~。
あれだけ元気だと、恵子ちゃんも嬉しいでしょ?」
「いや、昔に比べれば年取ったよ。どこまで一緒に行ったの?」
「マンションの前まで、一緒に来てくれたよ」
「そうなんだ」
「なんだかブツブツ文句も言ってたよ」
「なんだって?」
「恵子はすぐの俺のことを老人扱いするって(笑)」
「だって、老人だもん。しょうがないじゃんね~(笑)」
「(笑)だけどさ~シャキシャキ歩いて、若いもんには負けねえって言ってたよ。
とても73歳には見えないよな~」
「弟くんはTV見てるから知ってるでしょ?
あれだってパーキンソンだから、手や足が震えてるんだよ。
それにパーキンソンは心臓弁膜症にもなりやすいんだって。
だから今度検査もするし、それでもがんばってるんだよ」
「パーキンソンって寝たきりになっちゃうんだろ?大丈夫なの?」
「うん、ジイジの場合はパーキンソ病じゃなくて症候群だからね」
「そうなんだ~。本当にさ~、すげぇ~よな~。」
「千葉のお義父さんも、そうじゃん。心筋梗塞やってても
弟くんより、シャキシャキ歩くでしょ?
だから70代の老人に負けるなって言うのよ」
「本当だ!負けてられねえな~」
父もあの歩き方だから、心配でマンション前まで来たんだろうな。
父と一緒に歩いたことが、少し刺激になったようだった。
「それでも昔に比べたら、ジイジも腹筋がなくなってきてるから
少し背中が丸かったでしょ?前はピシッと背筋も伸びてたんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ~。俺にはすごい元気に見えるけど」
「だからさ、若いもんには負けないってがんばってるからでしょ」
「そうだよな~。俺はっきり言って、前で待ってたときもうキツかったんだよな」
「そこからが、筋力体力付くんだよ。キツイな~で終わったら
そこ止まりだよ、キツイな~からどれだけできるかなんだから」
「そうか~」
「だから、下まで戻ってきてキツイな~と思ったら、今日ジイジと回ったコースを
もう1周しておいで。それを超えなくちゃ、体力も付いてこないよ」
「そうだよな~」
「それにさ、腹筋や背筋やってもっと筋力もつけなくちゃ。
本当はね、こういう足上げをやると内臓も元の位置に戻って
効果があると思うけど、弟くんこの運動は出来ないもんね。
でもここに掴まれば、できるかな?」
本棚つかまり、やり方を教えると
「それやったら、おしっこ漏らさなくなるかな?」
「間違いなく漏らさなくなるよ~。でも弟くんの場合は
1日サボったら元に戻るのに3日かかるって言われてるんだから
人の3倍はがんばらないとダメってことだよ。
最低でも3ヶ月は続けないと、効果は出てこないと思うよ」
「うん、どうやるの?もう一度教えて?」
自分も本棚につかまり、やり方を聞いてきた。
「結構キツイと思うよ」
10回を過ぎると
「俺、左が上がらなくなってきた」
「ゆっくりと、上がらなくてもいいから上げるようにやるんだよ」
20回を過ぎると
「うわ~、太ももの裏とかキツいな~」
「お腹の辺りも熱くなってこない?」
「うん、少しなってした」
「最初は無理しなくてもいいけど、少しずつでも回数増やして1日に1回
60回できるようになって、初めてスタートラインに立つんだよ」
息が上がり始め、足も上がらなくなってきた。
たったこれだけのことで、これほどキツく感じるのか。。。
「はあ~、キツい」
40回が限度だった。
「座ったら、またノートに書いておきなよ。
始めるなら、明日もやらなくちゃダメだからね」
そうは言ったものの、たぶん明日はやらないだろうと思う。
それよりも、今はノートに書くこと。
それによって、自分の行動を把握させることを優先しようと思った。
大学ノートに書かせることは、根気がいることもわかった。
言ってる事と書くことが、違ってしまう場合もある。
16:00~15:00など、逆に書いたり、口では17時と言いながら18時と書いたり
でもそれを指摘しながらやれば、間違いは認めて自分のしたことに納得してる、
義弟と、本当に久しぶりに会話らしい会話をしたような気がする。
義弟が始めてやる気を見せたんだよ。
なんだか、涙が出そうなほど嬉しかった。
持続するかどうかの問題はあるけど、今は素直に喜んでおこう。
昨夜は、久しぶりにスッキリとした気分で眠ることが出来たんだ。
本当に嬉しい、嬉しい、嬉しい♪
だけど、この喜びも束の間のこと。
実家に行くまで、ほんの数日だったからとにかくノートを書くことを
意識付けだけさせようと思っていたけど、その数日間で義弟の出来ないことが
わかるようになってきた。
気が向いたら、ポチッとお願いしますm(__)m
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